高校3年の秋、ちょうど今頃。10月のよく晴れた日曜日だったように思う。今はもうなくなってしまったけれど、阪急ブレーブスというプロ野球チームの入団テストを受けた。

同じ野球部の4番打者であるTOMIOKAと浪商のK山と、そしてなぜか女の子が球場まで一緒にきていたように記憶している。学年がひとつ下のめっぽう可愛くて、そして透明感のある子だった。

誰かの彼女だったのか。誰かの彼女だったのかな。少なくとも俺の彼女ではなかった。なんか微妙な立ち位置ではあったけれど、そんな具合で、われら4人は西宮球場に向かった。

テストを受けたのは、俺とTOMIOKAのふたり。実際のところ、プロ野球の入団テストというものはどんなんやろかという極めて物見遊山的な行動原理に基づいていたので、テストには気楽に、のほほんとして臨んだ。

一次テスト。50メートル走と遠投。

そして結果発表。この日、球場に集まったのは100人くらいはいたのかな。その中から15人ほどが合格。なんと俺もTOMIOKAもその番号が読み上げられた。一次テストをパス。予想外の展開にそれでもそこからすぐに二次テストへ。野手だったので打撃テストに臨む。

ヒット性の当たりはゼロ本だったように思う。

最終的に四国の高知からやってきた伊野商業高校の生徒がひとりしばらく練習生として参加するという入団テストの結果だった。

あの日、誕生日を迎える前のまだ17歳だった。俺たちにもそんな時代があって、その頃の光の記憶というのは断片的に切れ切れに残っていて、そのひとかけらがこの秋の日の阪急ブレーブス入団テストということになる。

こどもの頃、阪急ブレーブスはパ・リーグを代表する常勝球団であった。今はオリックスという球団につながっている。がんばれオリックス。

あの女の子はどうしているのかな。どこか遠い空の下で幸せに暮らしているだろうか。